相続放棄と遺品整理

文責:所長 弁護士 岩崎友哉

最終更新日:2024年05月09日

1 相続放棄と遺品整理の関係 

 相続放棄をする場合には、原則として、遺品整理を行わないようにする必要があります。

 正確には、どのような財産がどの程度存在するかについて調査をしたり、汚損等を防ぐための手立てをすることは問題ありませんが、廃棄や売却をしないようにする必要があります。

 もっとも、実務上、遺品に一切関与しないということが難しい場面もありますので、対応が必要となることもあります。

 以下、具体的に説明します。

2 相続放棄をする前の遺品整理について

 相続放棄をしていない段階においては、先述のとおり、どのような遺産があるかを調査することや、汚損防止のために明らかにゴミといえるものを処分するということは行っても問題ないと考えられますが、これら以外のことを行うべきではありません。

 遺産を持ち去り、売却、廃棄などをすると、相続放棄をすることができなくなってしまうおそれがあります。

3 残置物を処分するように迫られている場合の対応

 お亡くなりになられた方が単身で賃貸物件にお住まいであった場合、大家さんから、家の中の残置物を撤去するよう求められることがあります。

 このような場合にも、原則としては、残置物の処分はしてはいけないといわざるを得ません。

 法律上は、大家さんが相続財産清算人を選任し、相続財産清算人が残置物を処分することになります。

 もっとも、実務上は、賃貸物件の明け渡しを強く迫られ、断ることが困難となることもあります。

 財産的価値がない物であれば、そもそも相続財産を形成しないと解釈し、処分するという手もあります。

 ただし、裁判所が明確に認めているわけではないので、現状としては、法定単純承認事由とされてしまうリスクを負うことにはなります。

 リスクを低減するため、できれば遺産整理業者等の査定を取得し、処分したものには金銭的価値がなかったということを示せるようにしておきましょう。

 残置物のなかに、現金など財産的価値があるものが発見されてしまった場合には、ご自身の財産とは分けて保管するということも必要です。

4 相続放棄後の遺品の取り扱いについて

 相続放棄をしていない他の相続人がいる場合や、次の順位の相続人がいる場合には、その方に遺品を引き渡すことになります。

 相続放棄をした方が最後の相続人であり、相続人が不存在となってしまう場合には、相続財産清算人の選任申立てをし、裁判所に選任された相続財産清算人が遺品を清算することになりますので、相続財産清算人に遺品を引き渡しましょう。

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