全員が相続放棄をしたら家はどうなる

文責:所長 弁護士 岩崎友哉

最終更新日:2024年05月09日

1 全員が相続放棄をした場合の被相続人の家の扱いについて

 被相続人の方がお亡くなりになり、何らかのご事情によって相続人全員が相続放棄をするということがあります。

 相続人全員が相続放棄をすると、相続人不存在という状態になります。

 被相続人の方がご自宅を所有していた場合、ご自宅についても所有者がいなくなります。

 ただし、状況によっては、相続放棄をした元相続人がご自宅の管理責任を負う可能性があります。

 また、相続人全員が相続放棄をした後の被相続人のご自宅は、相続財産清算人が選任されない限り、そのまま空き家として残り続ける可能性があります。

 以下、これらのことについて詳しく説明します。

2 相続放棄後の管理責任

 相続放棄をした時に、被相続人のご自宅を現に占有していた相続人は、他の相続人または相続財産清算人にご自宅を引き渡すまでは、自己の財産におけるのと同一に注意をもってご自宅を保存しなければならないとされています。

 「自己の財産におけるのと同一に注意」とは、積極的に価値を棄損するようなことはしないという程度の注意と解釈されます。

 最後の相続人であった方が、相続放棄時点で被相続人のご自宅に住んでいたなど、占有をしていた場合には、この管理義務を負うことになります。

 

 【参考条文】

 (相続の放棄をした者による管理)

 第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

 (第2項省略)

 参考リンク:e-gov法令検索

3 相続財産清算人の選任

 被相続人のご自宅の管理義務を免れたり、空き家として残り続けることを解消するためには、家庭裁判所で相続財産清算人の選任の申立てをする必要があります。

 相続財産清算人が選任されると、被相続人のご自宅は相続財産清算人が管理等をすることになります。

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